幸せポイント
遊具の場所も花壇の場所も変わらない。


だけど、あたしが成長した分、そこは確かに小さくなっていた。


「前にもこんな風にソフトクリームを食べたことがあるよね」


コーヒーカップと観覧車にのった後、あたしたちはパラソルの下でソフトクリームを食べていた。


数時間前よりも人が増えて来た園内を見回す。


小さな子供連れの親子やカップル。


あたしたちみたいな親子はあまり見かけない。


「そうね。あの時蘭は従兄の怜人君と喧嘩をしていたのよね」


お母さんが懐かしむように目を細めてそう言ったので、あたしは驚いた。


そういえばそんなこともあったと、言われて思い出したのだ。


夏休み、お婆ちゃんの家に泊まりに来ていた怜人と喧嘩をしたのは、小学4年生の頃だった。


喧嘩の原因は覚えていないけれど、今振り返ればどうでもいいような些細ない事だったんだろう。


遊園地に来た日も、本当はお婆ちゃんの家に行って怜人の家族と一緒に遊ぶ予定だったっけ。


だけど喧嘩をしてしまったから『行きたくない』とだだをこねたのだ。
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