幸せポイント
あたしはマックの事が本当に大好きだったから、横になったまま動かないマックを見ても死んだなんて感じられなかった。


『ねぇ、マックは眠っているだけなんでしょう? いつ目が覚めるの?』


そう言って、家のおばさんを困らせたことを今でもよく覚えている。


「マックの首輪が外れて逃げた時に、一番最初に探し始めたのは蘭だったわよね」


「あぁ、そういえばそう言う事もあったよね」


マックが付けていた首輪は、マックが来る前に家にいた犬が付けていたものだった。


飼い主のおばさんは昔の犬の事も忘れたくないと思い、同じ首輪をマックにもつけていたそうだ。


しかし、首輪は劣化には勝てなかった。


ボロボロになった首輪を引きちぎり、マックが逃げ出してしまったのだ。


おばさんはマックが野生に戻りたいのならそれでもいいと思っていた。


だけど、外には車が走っているし、用水路もある。


食べ物だって確保できるかどうかわらない。


そう考えるとほっておくことなんてできなかった。


あたしは1人で家を飛び出してマックを探しに行ったのだ。
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