幸せポイント
自分の姿を気にしつつも、あたしは階段を駆け下りた。


起き抜けで走ったせいで軽くメマイがする。


落ち着いて玄関のドアを開けた。


「蘭! って、あんたまだそんな格好してるの?」


制服姿の早苗があたしを見た瞬間呆れた表情を浮かべた。


「え、へへっ」


あたしは誤魔化すように笑った。


見ると、早苗の後ろには久志が立っていた。


久志の顔には傷ができていて、思わず息を飲んだ。


「久志、その顔……」


「あぁ。やられた」


なんでもないことのようにそう言い、ニカッと笑う久志。


「やられたって、正樹たちに!?」


「あいつら以外にはいないよ」


「でも、なんで顔に……」


あいつらはいつも服で隠れる場所ばかりを攻撃してきていた。


顔を傷つけるとすぐにバレてしまうからだ。


「僕、一発殴り返したんだ」


久志が晴れ晴れとした顔になってそう言った。
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