幸せポイント
正樹はそれを無視し、そっぽを向く。
その姿はまるで怒られた子供みたいだ。
「おはよう、美鈴」
久志は正樹の後ろに隠れている美鈴にも声をかけた。
美鈴はビクッと身を震わせたが、「お、おはよう……」と、か細い声で返事をした。
それを聞いて久志は満足そうにほほ笑む。
「朝は挨拶で始まる。これ、うちの父親の言葉なんだ。どんな相手でも、挨拶は必ずすること。挨拶ができない人間は人と心を通わせることもできない。
人と心を通わせることのできない人間は、自分という殻から飛び出す事もできない」
みんな、黙って久志の言葉を聞いていた。
立派なお父さんなのだろう。
久志の顔は誇らしげだった。
「人がどう考えているのかを知ろうとすることで、自分の世界は広がる。相手の意見を否定し、拒絶し、自分の意見を押し付ける事なんて簡単だ。
だけど受け入れる事は難しい。簡単なことに逃げている限り、人は子供のままなんだ」
久志はそこで一旦口を閉じ、息を吸い込んだ。
「僕は、ちゃんとした大人になりたい。だから、君たちともちゃんと挨拶をするよ」
そう言った久志は今まで見たことのないくらい、カッコよくて、綺麗な笑顔をしていたのだった。
その姿はまるで怒られた子供みたいだ。
「おはよう、美鈴」
久志は正樹の後ろに隠れている美鈴にも声をかけた。
美鈴はビクッと身を震わせたが、「お、おはよう……」と、か細い声で返事をした。
それを聞いて久志は満足そうにほほ笑む。
「朝は挨拶で始まる。これ、うちの父親の言葉なんだ。どんな相手でも、挨拶は必ずすること。挨拶ができない人間は人と心を通わせることもできない。
人と心を通わせることのできない人間は、自分という殻から飛び出す事もできない」
みんな、黙って久志の言葉を聞いていた。
立派なお父さんなのだろう。
久志の顔は誇らしげだった。
「人がどう考えているのかを知ろうとすることで、自分の世界は広がる。相手の意見を否定し、拒絶し、自分の意見を押し付ける事なんて簡単だ。
だけど受け入れる事は難しい。簡単なことに逃げている限り、人は子供のままなんだ」
久志はそこで一旦口を閉じ、息を吸い込んだ。
「僕は、ちゃんとした大人になりたい。だから、君たちともちゃんと挨拶をするよ」
そう言った久志は今まで見たことのないくらい、カッコよくて、綺麗な笑顔をしていたのだった。