幸せポイント
あたしは聞くのをやめてテンちゃんを見つめた。


いきなりあたしの前に現れたイケメンな天使。


自分の事を天使だと名乗り、キラキラと輝く羽を持っているテンちゃん。


女性に馴れていなくて、ちょっとした軽口で真っ赤になってしまうテンちゃん。


あたしの事をずっと見ていてくれて、花丸スタンプを押してくれるテンちゃん。


『よく頑張ってたね』


そう言って褒めてくれるテンちゃん。


テンちゃんと出会ってまだ2週間ほどだけれど、そのテンちゃんとの別れの時が近づいているなんて、思えなかった。


テンちゃんをジッと見つめていると、不意にテンちゃんの頬が赤くなった。


やっぱり、女性に不慣れなのだろう。


あたしは気にせず、テンちゃんの手を握りしめた。


とても暖かくて優しいテンちゃんの手。


「テンちゃん、今までありがとう」


「ら、蘭ちゃん?」


テンちゃんは困惑し、あたしから視線を外した。


「きっと、明日で最後になるね」


そう言うと、テンちゃんの表情はあっという間に悲しげなものに代わってしまった。
< 209 / 236 >

この作品をシェア

pagetop