幸せポイント
込み上げて来る涙をグッと押し込めて、あたしはほほ笑んだ。


テンちゃんが辛そうな表情であたしを見る。


「今までありがとう、テンちゃん」


そう言うと、テンちゃんは強く左右に首を振った。


「俺はなにもしてないよ。頑張ってたのは蘭ちゃんだ」


「あたしはちゃんと天国へ行くよ。それで、ちゃんと幸せになるから」


「うん」


テンちゃんの目に涙が浮かぶ。


だけど、これがこぼれないように目に力が入っているのがわかった。


お別れのときはお互いに笑顔で。


言葉にしなくても、あたしとテンちゃんはそう考えていたのだ。


「おめでとう蘭ちゃん。よく、頑張ったね」


テンちゃんの手が伸びて来て、あたしの体を抱きしめた。


こんなこと、本当は照れくさくてやりたくないくせに、テンちゃんは両腕に力を込めた。


「ありがとうテンちゃん」


あたしはテンちゃんの背中に腕を回す。
< 227 / 236 >

この作品をシェア

pagetop