幸せポイント
開いてみると、マス目がギッシリと引かれていて途中に10とか20といった数字がふられている。


その数字の最後は100になっていた。


100ポイントためればいいということなんだろう。


「これ、なに?」


「見ての通りのポイントカードだよ」


「これを一か月で全部溜めるってこと?」


「そう言う事! さすが、これに関しては飲みこみが早いね。日本人の女性はとイントをためることが好きだって聞いてたけど、本当だったんだ」


自称天使はそう言い、嬉しそうにほほ笑んだ。


天界にそんなどうでもいい情報が届いているのかと、あたしは呆れてしまった。


「この幸せポイントって、どういう意味?」


あたしは表に書かれている文字を指さして聞いた。


「あぁ、それ? それは君が他人へ与えた幸せって意味だよ。君が他人へ100回の幸せを与えることができれば、天国へ行ける」


なるほど、そういう意味か。


「で? 100ポイントためられなかったら?」


「地縛霊行き」


なんでもないように言い切った自称天使に、あたしは小さくため息を吐き出した。


なにがなんでも幸せポイントをためる必要があるってわけだ。


「それからもう1つ」


自称天使が右手中指を立てて深刻な表情で言って来た。


「なに? まだなにかあるの?」


「俺のことはテンちゃんって呼んでくれ」


今までで一番真剣な表情でいうのがそれか。


っていうかこの夢、早く覚めないかな。
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