幸せポイント
☆☆☆

ハッと目が覚めるとあたしは教室の窓枠に足をかけていた。


一瞬にして状況を把握する。


ここは化学室だ。


体が前方にグラリとゆれた。


止めようとするが、ダメだった。


やっぱり、起こった出来事を変えることはできないらしい。


あたしはあの日と同じように化学室の窓から落下した。


テンちゃんの顔が蘇る。


早苗の笑顔が蘇る。


久志の泣きそうな顔が蘇る。


そしてクラスの全員分の笑顔が蘇って来た。


目の前に見えるクラスメートたちの笑顔に、あたしはほほ笑む。


もう大丈夫だよね。


みんな、こんなにもいい笑顔をしているんだもん。


その輪の中からあたしがいなくなることは寂しいけれど、それはあたし自身のせい。


みんながこんなに素敵な人だと気が付く事ができなかったのが悪いんだ。


地面が近づいてきた時、両親の笑顔が浮かんできた。


あぁ……。
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