幸せポイント
あたしはハッとして黒板に駆け寄った。


カッカッと音がなり、黒板に文字が現れて行く。


『蘭ちゃん、ミッションが終った事で俺たちの関係はもう切れた。だから蘭ちゃんに俺の姿はもう見えないんだ』


「テンちゃん!?」


ここに、いる。


なにも見えないけれど、今ここにテンちゃんがいる。


『マットは、ささやかな俺からのプレゼントだよ。人の運命を変えてしまうことはできない代わりに、蘭ちゃんの運勢を少しだけ良いものに変化させたんだ』


「テンちゃん……」


ジワリと目の奥が熱くなる。


生きたい。


その気持ちをテンちゃんはちゃんと汲み取ってくれていたんだ。


『この出来事を忘れずにいれば、きっと蘭ちゃんは幸せになれる。そして最期の時が来たら、また俺が迎えにくるよ。その時は迷わず天国へ行けるように祈ってる』


あたしはその文字に何度も何度も頷いた。


もう毎日と適当に過ごしたりなんかしない。
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