幸せポイント
死ぬまでの執行猶予期間。


そんな言葉が浮かんできて1人でクスッと笑った。


自分が死んだことに後悔なんてしていなかった。


むしろ、あたしはそうなっても不思議ではない生き方をしていたんじゃないかと思えている。


テンちゃんが言っていた通り、あたしは可もなく不可もない人間だ。


秀でたものがあるワケでもないし、極悪人でもない。


そんな自分が1人くらいいなくなったって、この世界は変わらないのだ。


唯一失敗したと思える事は、すぐにあの世に行けなかったことかもしれない。


あたしが善悪のどちらかに偏っていれば、今ごろここにだっていなかったのに。


おかげであと一か月間はどうでもいい日常を、どうでもよく過ごしていく必要が出て来てしまった。


しかも、今回は『幸せポイント』をためると言うミッション付だ。


以前よりも難易度が上がっている。


考えると億劫になり、あたしは強く頭を振った。


考えるのはやめよう。


あたしは一度死んだんだ。


きっと大丈夫。
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