幸せポイント
本当はこんな時間に来られるのは嫌だったけれど、目を潤ませながら見つめられたら誰だって許してしまうだろう。


「でもさ、今日は良い事なんてなにもできなかったし」


あたしは今日1日を思い出してそう言った。


いつもの毎日と何も変わらなかった。


少し気を配っていたせいで、いつも以上に疲れてしまった程度のことだ。


「そんな事ないよ?」


あたしが許したことで一気に元気になったテンちゃんがそう言って来た。


「へ?」


キョトンとしているあたしをよそに、テンちゃんは『幸せポイント』のカードを探し始める。


慌てて引き出しからカードを取り出すと、テンちゃんが花丸スタンプを2つ押してくれたのだ。


あたしはマジマジをそれを見つめる。


「蘭ちゃんは今日、2つのいい行いをしました」


ニコッとほほ笑み、カードをあたしに渡して来る。
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