幸せポイント
「2つのいい行い……?」


あたしはカードを手に取り、テンちゃんを見上げた。


この至近距離で見るとさすがにカッコいい。


思わず頬が熱くなり、咄嗟に視線を外した。


「そう。1つ目は教室でペンを拾った事。もう1つは家で洗濯物を畳んだこと」


「たったそれだけ?」


あたしは目を見開いてそう聞き返した。


テンちゃんは大きく頷く。


「そうだよ。たったそれだけの事でも相手が『幸せ』だって感じるんだ」


「そう……なんだ……」


あたしはカードに視線を落とした。


沢山ある枠の内、2つが花丸スタンプで埋まっている。


「人に幸せを感じてもらうなんて、もっと難しいことだと思ってた」


「そうでもないよ? ちょっとした事が相手の幸せになることは沢山ある。ただ、多くを求めてしまう人からすれば、小さな幸せは見逃してしまう存在だけどね」


「それって、相手によって感じ方が違うってことだよね?」


「そういうことだね」


テンちゃんはそう言って頷いた。
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