幸せポイント
「で、今日の『幸せポイント』は?」


「あぁ、うん。今日はとても頑張ってたよね。今日のポイントは2つです」


そう言い、ポンポンと2つの花丸スタンプを押すテンちゃん。


「ちょ、ちょっと待って!」


その様子を見てあたしはカードを確認した。


本当に2カ所にしか押されていない。


「どうして2か所なの? あたしもっと頑張ったよ? それに金色の光も沢山見たし!」


10個とは言わないにしても、もう少しポイントを集めていたはずだ。


「そうだね。それはそうなんだけど……」


テンちゃんがポリポリと頭をかいてあたしを見た。


なにか言いにく事でもありそうだ。


「なに? ちゃんと理由を聞くから言って?」


「うん……。今日は人を不満にしてしまったから、減点があったんだ」


「人を不満に……?」


「そう。蘭ちゃんも黒い光を見たハズだよ」


そう言われて、思い出した。


帰り道で偶然聞いてしまった彼女たちの会話。


その時、彼女たちの周りに黒い光が見えていた。


「見た、見たよ黒い光。なんだか見ているだけで気分が悪くなるような感じがした」


「うん。それが君が原因になっている不満だよ」


そんな……。


たしかにあたしは今日カラオケの誘いを断った。


だからって『幸せポイント』を減点されてしまうなんて、聞いていない。
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