幸せポイント
昼休み中ずっと教室に居ないと思っていたけれど、ずっとトイレにいたんだろうか?


でも、なんで?


あたしは香織の体で隠されているトイレ内へと視線を向ける。


香織は隠そうかどうしようか迷っている様子で、トイレ内の人物とあたしとを交互に見た。


「蘭ならいいよー」


中から美鈴のそんな声が聞こえて来た。


「蘭ならいいってさ」


美鈴からの許可が下りた香織は、体をずらした。


その隙間から見えた光景に、一瞬息を飲む。


ここは女子トイレ……の、はずなのに。


中の通路には男子生徒が数人タムロしていたのだ。


その顔はどれも見覚えのある顔ばかりだった。


正樹に衛に俊文。


そして、3人の真ん中にいるのが久志だった。


久志は鼻血を出していて青ざめた顔でこちらを見ている。


瞬間的に男子トイレから聞こえて来た会話を思い出していた。


3人が久志からお金を奪っていた、あの会話だ。
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