幸せポイント
「そうだ、蘭もやる?」


美鈴の不適なほほ笑みと物騒な言葉が聞こえて来てあたしは絶句した。


なにを言ってるんだろう?


あたしをイジメの仲間になれと言っているんだろうか?


あたしは無意識のうちに後ずさりをしていた。


ここにいちゃいけない。


今見たことも、聞いたことも、全部忘れてしまおう。


なのに、後方にはまだ香織が立っていた。


香織はいつも美鈴の味方について、今だってニヤニヤと笑っているだけだ。


「あたしは……いいや」


どうにか笑顔を浮かべてそう返事をした。


瞬間、美鈴の表情が険しくなる。


昨日見た、黒い光がトイレの中を飛び回るのが見えた。


「なんで? あたしたち友達だよね?」


美鈴はあたしにそう訊ねる。


本当の友達なら、そんな質問をする必要なんてないのに。
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