幸せポイント
一瞬、なにを言われているのか理解ができなかった。


香織を見ると、今にも大笑いしてしまいそうなほどの笑顔を浮かべている。


「蘭、ここはトイレだよ?」


美鈴がそう言い、開いている個室を指さした。


「まさか……」


「そのまさかだよ。トイレの中にある汚水を使うんだってば」


美鈴の口が耳まで裂けてニタリと笑うのを、あたしは見た気がした。


トイレの汚水を使う。


その声が久志にまで聞こえていたようで、個室の中から「やめてくれ!!」と悲鳴に近い声が聞こえて来た。


泣いているのか、その声は濡れている。


あたしだってこんなことしたくない。


久志のことは嫌いじゃないし、イジメられている理由だってわからない。


なにより、このイジメはあたしにはなんの関係もないんだ。
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