幸せポイント
テンちゃんはあたしを責めるでもなく、そう言った。


さっきまでと同じ、困ったような表情をしてあたしを見ている。


「それは……」


あたしは口ごもってうつむいた。


叱られているわけでもないのに、胸の中に申し訳のない気持ちが浮かんでくる。


「大丈夫だよ、時間はまだまだあるんだから」


テンちゃんがあたしにカードを差し出してそう言った。


花丸スタンプは今日は押されていない。


「今日の蘭ちゃんの行為はね、10個のいい事を帳消しにしてしまうほどのことだったんだよ」


そう言われて、あたしはカードをギュッと握りしめた。


そんなことを言われても、じゃぁあたしはあの時どうすればよかったの?


イジメに参加しなければ、きっと美鈴たちは機嫌を悪くしていた。


そうすれば、昨日みたいにポイントを減点されていたはずだ。


「大丈夫だよ。よく考えれば答えはきっと見つかるから」


テンちゃんはそう言い、あたしの頭をポンッと撫でて消えてしまったのだった。
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