幸せポイント
なんとなく見えてきた『幸せポイント』の定義に唸り声を上げる。


最初は簡単だと思っていたけれど、思った以上に難しいことかもしれない。


なにより久志のことがある。


またイジメに加担するように促されることもあるかもしれない。


そんなときにどうすればいいか、ちゃんと考えておく必要がありそうだ。


あたしはペンを置いて大きく伸びをした。


誰にも相談できない悩みというのはなかなかしんどい。


1人で悩んで1人で解決策を見つけ出さないといけないんだ。


「テンちゃんも人が悪いよねぇ。こんなに難しいことだなんて、何も教えてくれなかったんだから」


ぶつぶつと文句を言っていると、1階から母親があたしを呼ぶ声が聞こえて来た。


「なに?」


返事をしながら下りて行くと、リビングの模様替えをしたいから手伝ってほしいと言われた。


リビングは大きな家具があるから、移動させるのは簡単じゃなさそうだ。


「テレビをこっちに移動して、ソファをこっちに移動したいの」


お母さんは身振り手振りで伝えて来た。


テレビもソファも簡単には移動できない。


「わかった。まずはこのテーブルを移動させなきゃね」


リビングの真ん中を陣取っている大きなテーブルを指していう。


「そうね。じゃぁ行くわよ。せーの!」


掛け声と共に机が持ち上がる。


邪魔にならない所まで運び、まずはソファの位置を変えた。
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