幸せポイント
「なによ、もう10時よ? いつまで寝てるの?」


起き抜けのお父さんに文句を言われて言い返すお母さん。


険悪なムードがリビングの中に立ちこめる。


「休みの日くらいのんびりさせてくれよ」


お父さんは眉間にしわを寄せ、あたしとお母さんを交互に睨み付ける。


だけどそれは言ってはいけない言葉だと、あたしだってわかっていた。


だって、あたしの両親は共働きなのだ。


たまの休みがあるのはお父さんだけに限った事じゃない。


そんなことが通るなら、お母さんだって休日には家の事なんてしたくないはずだ。


「いいわね男の人は。自分だけ呑気に寝てても怒られないと思ってるんだから」


想像していた通りお母さんの声には怒りがこもりはじめていた。


このままじゃやばい。


咄嗟にそう思い、あたしは2人へ向けて笑顔を浮かべた。


「ねぇお父さん。この家具はこっちにあった方がいいと思わない?」


あたしはソファを指さしてそう言った。
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