幸せポイント
「だけど、今日のポイントは半分だけだよ」


せっかく気分がよくなっていたところに、テンちゃんはそんな事を言って水を差して来た。


あたしはムッとしてテンちゃんを睨み付ける。


こうして上から見ていても、イケメンすぎてむかついてくる。


「半分って、なんで?」


「減点」


「減点?」


あたし、今日なにかしたっけ?


そう思い首をかしげる。


「イジメを見て見ぬふりをすることは、いい行いとは言えないよね」


考えている最中に、テンちゃんが答えを言った。


あたしは一瞬息を飲んでテンちゃんを見た。


テンちゃんはようやく上半身を起こして、真剣な表情であたしを見た。


「だけど、あたしはちゃんとお金を返したよ」


そう言いながらも、なんて幼稚な言い訳なんだろうと情けなくなった。


必死で自分の身を守ろうとしているが、あたしがやったことは責められて当然のことだった。


「助けることができたかもしれない」


テンちゃんの手が伸びて来て、あたしの頬を振れた。


表情は険しいままのテンちゃんだけど、その指先はとても優しくてくすぐったいくらいだった。


「久志を助けろって言ってるの?」


「それは蘭ちゃん次第だから」


「テンちゃんずるいよ。あたしに決めさせようとしてるでしょ」
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