恋は突然に 意地悪なあなたの甘い誘惑
「綾乃、じゃあ、入れてみて。」
隼人はさらっと言った。

「え?無理…。」
「お前、ここまで言っといてやらなきゃ、イメージがわかないだろ?言葉より音だよ。そんな事わかってるだろ?」

颯斗の声に、綾乃は戸惑った。
「お前だってこの曲のすごさ解ってるんだろ?世に出した方かいいと思わないか?」

(- そんな事解ってる…。でも…。)

「みんな、ちょっと休憩だ。」
隼人は声を掛けると、メンバーをスタジオから出した。

「カズ、譜面。」
隼人はそれを受け取ると、綾乃に渡した。

「チビ、お前譜面読めるの?」
カズのバカにした言葉に、
「あたし、チビって名前じゃないんだけど。」
綾乃は譜面に目を向けたまま言った。

「それと、ここのコード、たぶんこっち方がいいと思うけど。」
綾乃はメガネの奥から冷たい目を向けた。
カズは黙っていた。
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