恋は突然に 意地悪なあなたの甘い誘惑
カズはそんな綾乃をだまって見つめた。

綾乃はしばらく、目を瞑り頭の中でメローディーを流した。
そして、おもむろにピアノの音がスタジオいっぱいに広がった。

それを、譜面に書き落として行く。
カズは唖然とした。

(- なんだ、このチビ。)

「こんな感じかな?合わせてみないと微調整掛けられないけど。」
綾乃は父に声を掛けた。
「OK。ヒロが戻ったら合わせよう。」
カズはプロの顔になり中に入ると、
「ここの、これ、こっちにできる?」
綾乃は、驚いて顔を上げた。

それだけ言うと、カズは譜面に鉛筆を走らせた。
「ここ?」
綾乃はピアノをサッとひいた。
「そう、それを…。」
「ああ、こう?」
カズは、言わなくてもイメージが伝わることに驚いていた。
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