恋は突然に 意地悪なあなたの甘い誘惑

ホテルのプライベートビーチを貸し切って行われている撮影は、４人の演奏の撮影からのようだった。

プライベートビーチへ降りる階段をゆっくりと綾乃は降りながら、その様子を見ていた。
「やっぱりかっこいいわね～。真っ白な砂浜によく映えるわ…。」
三輪がうっとりした様子で言った。
カメラマンやスタッフが忙しくする中、綾乃は後ろの方に立った。

「いったん休憩します。」
との声で、メンバーが戻ってきた。

「なあ、あの子誰？」
タクは、後ろの方にいた綾乃を目で見ると、メンバーに声を掛けた。
「めちゃ、可愛いじゃん！女優って明日合流じゃなかったか？」
ヒロも言った。

立ち止まって、目線を動かさない和弘に、ヒロは振り返ると声を掛けた。
「カズ、どうした？」
「…化けたな…。」
「え？」
「あれだよ、あれ…綾乃だよ。」

「…え！！！！！」
和弘以外が声を上げた。
「嘘だろ？綾乃ちゃん…。」