恋は突然に 意地悪なあなたの甘い誘惑
三輪と三人で席に座ると、キラキラした穏やかな海を見ていると、不意に視線を感じて綾乃は目線を戻した。

「ヒロさん?どうかしましたか?」
持っていたスプーンを置くと、綾乃もチラリとヒロに視線を向けた。

「ねえ、綾乃ちゃん?カズと何かあった?」
いきなり確信をついた質問に綾乃は、思わず口に含んだサラダを吹き出しそうになった。

「なんでですか?何も無いですよ?」
慌てて早口で言った綾乃に、ヒロはジッと疑いの目を向けた。

「だって。アイツも変だから」
呟くように言ったその言葉を、綾乃は聞き取ることができず、首を傾げた。

「なんか……よくわからないんですよ。天才さんは何を考えてるのか」
少しおどけたように綾乃は言うと、前菜のサーモンにフォークを刺した。
「まあ、アイツは天才だね」
「はい。それは認めます」
「綾乃ちゃんも天才だと思うよ?俺は」
その言葉に、驚いて苦笑した。
「そんなことある訳ないじゃないですか」

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