恋は突然に 意地悪なあなたの甘い誘惑

天才?

綾乃はようやく震えを抑えると、帰ろうとした。

しかし、どうしてもさっきの音楽が忘れられなかった。

そっと、スタジオに入り、レコーディングの様子を見ていた。

そんな娘を見て父はふっと笑った。

(- …?)

「カズ、そこどうもしっくりこなくないか?」
父、隼人の言葉に、
「そうなんです。ここサビの入りがイマイチですね。」
カズも答えた。

何度か、修正を加えているのを見て、綾乃は無意識に、
「バンドの音だけだと限界があるんじゃない?」
その声は、父の声と共に中のカズにも聞こえていた。
「どういう意味だよ。」
冷たい声が響いた。

(- しまった。要らない事言っちゃった。)
綾乃は慌てて口をつぐんだ。
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