私に触れて、そして殺して
貴方は誰


「おはよう」



ガチャ、と開けられた頑丈な扉

私はその扉を開けたことも
触れたこともない


多分、自ら開けることも
触れることもないだろう



「サラ、朝ごはんだよ」


そう言って
プレートを所定の位置へ置いた

食パン1枚に
牛乳が入ったコップだけ


いつも同じメニュー
お腹が空くこともなく
食べたいとも思わない



「サラ、ちゃんと食べないとダメだよ?」



ニコニコしながら
私にそう言ってくる男

私はこの男を知らない
見たこともないし、名前も知らない
誰?と聞いても、教えてくれない


それに…
私は“サラ”という名前ではない


福原凛子
これが私の名前だ


どうして私がここにいるのか…
私はとても優しい彼氏と暮らしてはずなのに…

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