私に触れて、そして殺して


ドアが開く音に目が覚めた
視線だけを向けると
おはよう、とニコニコしながら
毎日同じパンと牛乳がのったトレイを
チェストの上に置く

そして私の顔に手を当てて
私の体温を確認している



『…三吉さんは?』


何度考えても
嘘であってほしいと言う気持ちが強い


「サラ、そろそろ生理?ちゃんと出すもの出さないと、身体に悪いよ」


やはり私の言葉を無視する男
出すもの出すって…
この部屋の隅に設置されてある
簡易トイレ

当たり前だが個室や囲われてるわけではない
そんなところでスルなんて
どうしても抵抗がある
だから最小限に、抑えている


「あー、生理用のナプキンとパンツも必要だね。買ってこなくちゃ」


独り言のようにブツブツ言って
男は出て行ってしまった

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