私に触れて、そして殺して


「サラ、食べて」


食事を一切口にしなくなった私
私の身体を気遣ってか
レンは温かいスープを持ってくるようになった

口元までスプーンを運んでくれるが
一切口を開けない私に
レンはため息をついている



「…そんなに会いたい?」


その言葉に視線を向けると
なら食べて、と
口元にまたスプーンを持ってきた


三吉さんに会いたい
会えるなら、とスープを口にした
何も食べていなかった身体
スープがとても美味しく
もっと食べたいと欲してしまった


全て食べ終わると
レンは私の頭を撫で
トレイを持ち部屋を出て行こうとした


『ま、待って』


「…約束は守るよ」


それだけ言って
部屋から出て行ってしまった

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