私に触れて、そして殺して


レンは大きめの鞄を持っていた
その鞄から機材を出し始める

何が始まるの?
不安もあるが
それよりも今の状況を打破したい



『私のこと愛してるなら…、どうして?』


ここから出たい気持ちもあるが
何より三吉さんの行動が信じられない



「君は俺の事をどれくらい知ってる?」



『そんなの…っ、』


どれくらい、と言われ言葉に詰まった
だって、答えられるような事がない
名前と働いている仕事内容くらい
しかも名前だって…苗字だけ
働いている会社名だって知らない

家族構成や、年齢だって知らないのだ
今まで自分のことで精一杯だった私は
何も知ろうとしなかった

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