私に触れて、そして殺して


あれは…ビデオカメラ
もしかして、と
他の機材も見てみると
全てビデオカメラが設置されていた



『レンっ、やだ、なんで?あれ、なにっ!?』


あれ?と
私の目線と同じ方を向くと
あー、と言いながら
また私の身体に顔をうずめてきた


『やだっ、やめて…』


「教えてあげるって、言ったよ?」



…確かに言った
でも、それと今の状況と
全く飲み込めないし納得できない


「くくっ…。あの人、女に触れられないんだ。どんなに愛した女でもね…」



触れられない?
どういうこと?

頭の中でぐるぐると過去が蘇って来る
三吉さんは私に触れることはなかった
それは私のことを想ってのことだと思っていた

でも、一度だけ
私の頭に触れたことを思い出した

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