私に触れて、そして殺して


確かにあの時は
少し遠慮がち、というか
恐る恐る触れていた

でも、触れることができている


「それはあの人の頑張りと、薬のおかげ」
「思い出してごらん、サラを看病したのは誰かな?あの人は女に触れられない。あの人の部屋に運んだのも、着替えさせたのも俺だよ」


うそ…、


でも、それを証明するものも
記憶も全くない


「くくくっ、あのレンズの向こうに誰がいると思う?」


レンは意地悪そうに言ってきた
レンズの向こう…
それはあのカメラを通して誰かが見ているということだ


まさか…、


「あの人は女に触れることができない。当たり前だけど、セックスもできないんだ。…レンズの向こうにあの人が見ている」


その言葉と同時に
下腹部に異物が入ってきた

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