私に触れて、そして殺して


『…レンと?』


「そうだよ。二人でどこか遠くに…」



と、言いかけたレンは
それ以上言葉を続けなかった
どうしたのかと、思っていたら
レンは私の頭を抱き寄せてきた


「…俺が先なのに」


そう呟いたレンは私から手を離し
またね、と出て行ってしまった

何が先だったのか
聞く余地もなく行ってしまった


最近のレンは困った顔をする事が多い
その原因が私だというのは理解している
でも、やめられない
私が生きて行くためだから


一人になった私は
レンの言葉を思い出していた

レンと二人で暮らす…
どこか遠くに?


それは三吉さんがいないという世界だろう
レンが三吉さんを裏切るという事なのか…

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