私に触れて、そして殺して


眠たくないが
そろそろ寝ようかと思った時
ドアが開いた

レンかと思ったが
部屋に入ってきたのは三吉さんだ



「あいつに惚れたか?」



それは冷たい視線で
呆れたかのような言葉
何も答えずにいると


「他の女と一緒だな」


と、捨て台詞のように吐いて
部屋を出ようとする
他の女と一緒、
その言葉にムッとし


『自分勝手ね。自分のこと、話そうとしないくせに…。話してよ』


知ろうともしなかった、と言うのもあるが
三吉さんは自分の事を語ろうともしなかった
私達はどっちもどっちだ


それでも三吉さんは話してはくれなかった
結局、何も言わず部屋から出て行ってしまった
また三吉さんと話す機会が必ず訪れる
そう、思っていたが
私は三吉さんを甘く見てしまっていた

< 151 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop