私に触れて、そして殺して


完全な孤独になってしまった
それがどれほどの恐怖か…


ガチャン、と解錠の音に気がついて
身体を起こした
誰?レン?三吉さん?


部屋に入って来たのは
左腕に包帯を巻いた
ラフな格好の三吉さんだった


『三吉さん、その腕…』


「…大したことないよ」


三吉さんが手にしていたトレイを
取りに行こうとしたが
女に触れられない、という病気を思い出し
近づくことも躊躇してしまう



「食事、置いておくから…」


そう言うとすぐに行ってしまう
聞きたいことがたくさんあるのに…
三吉さん、と呼びかける


「…レンは、当分来ないから」


それだけ言って出て行ってしまった
三吉さんの怪我は一つではない
顔にも薄くなった痣がいくつかあった

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