私に触れて、そして殺して


そんなことを考えていると
私の前に三吉さんが立っていた
どうしたのかと、三吉さんを見上げる

三吉さんの手が宙を彷徨っていた



『…無理、しないで』


「本当はこの手で触れたいって常に思っているんだ。どうして触れられないのか、発作が起きてもいいから触れたいって…でも、薬を常時飲む事は自滅に繋がるんだ」


宙を彷徨っていた手は
ギュッと握られ下ろしてしまった


「レンが凛子に触れることで、自分が触れているかのように思うしかなかった。でも、それももう限界なんだ…やっぱり凛子に触れたい」


下ろされた手が再び宙に浮いた
その手はゆっくりと
わたしの頬へ向かってくる


触れてほしいという気持ちもあるが
大丈夫なのかという不安な気持ちもある

< 175 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop