私に触れて、そして殺して


その間も三吉さんは
私に何度も逃げろ、と言ってきた


「凛子っ!」


『っ…、で、でも、三吉さんと一緒じゃなきゃ、意味がないよ』


「あいつをあんな風にした責任は俺にある…。あいつが戻る前に…、頼むから…」


三吉さんの訴えに手が止まる
レンが戻ってきたら
何かが起こる
それを三吉さんは理解しているんだろう

それは私の身に関わる事かもしれない
だから、逃げろと言ってきた
自分からここに連れてきたくせに…


何も言わず三吉さんから離れ
ドアへと歩き始めた
ここから出る、なんて思いもよらなく
出れたら…と思った時期もあったが
ほとんど諦めていた


ドアノブに手をかけようとした時
三吉さんの方を見た
もしかしたら
三吉さんと会えなくなるかもしれない

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