私に触れて、そして殺して


結局、自由がなくなってしまった


レンは一人シャワーを浴び
脱ぎ捨てた服をまた着た
その間、私と三吉さんはそのまま

お互い、顔も合わせることなく
言葉を交わすこともなく
ただ、早くここから解放されたいという
気持ちの方が強かった



「もう、あんたに会うことはない」


そう言って
三吉さんの縄を解いた
無気力な三吉さんは
レンに引きずられる形で
部屋から出て行ってしまった

ガチャン、と閉じられたドアと同時に
次から次へと涙が溢れてきた


どうして…
なんで、私が…
そんな気持ちが溢れてしまった


手で伝った涙を拭うが
それすら間に合わない
顔を枕に埋め涙を拭う
誰もいないけど
泣き声すら聞かれたくないのだ

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