私に触れて、そして殺して



「大丈夫、僕が助けてあげる」



夢の中で誰かが言った
知らない男の人の声
でも、その声と同時に身体が軽くなる


なんだろう…
まさか魔法?
夢って便利だな、と思いながら
私はまた深い眠りについた




助けてあげる、

私は助けを求めてる?
どうやって?

タツヤの浮気が消せる?
犯された事を消せる?



そんなの無理だよ



そう思ったら
急に身体が冷たく感じる

さむい、凍えそうだ


夢の中なのに
冷たさが半端ない



『…寒い、…助け、て…』


うわごとのように発した言葉
誰が拾ってくれるわけじゃないのに…



「大丈夫。僕がついてるよ」


でもその声は私には届かなかった

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