私に触れて、そして殺して
これは、どういうことだろう
そんな事を考えながら
私の中で一つ、ある考えが生まれた
もしかしたら
ここから逃げ出せるんじゃないか、と
でも、今までもそのチャンスがなかった
いつも鍵はかけられていて
レンが来なかった間も
何度かドアノブを回したが
決して開くことはなかった
だから期待はしない…
そんなことあるはずがない、と思いながら
私は部屋に一つしかない 頑丈なドアへ向かった
それでも、もしかしたら、という期待が
少しずつ大きくなる
ドキドキ、と鼓動が大きく響き
ドアノブを握りしめた手には
変な汗が滲んでいた
ぎゅっと握りしめドアノブをゆっくり回し
恐る恐るドアノブを手前にひいた
動かないと思っていたドアが動き出した