私に触れて、そして殺して


行き先もなく
どこへ行くあてもない
ただ、彷徨うように歩き出した


今思えば、私の世界は狭い
働き出したら
友人だった人たちと
なかなか時間が合わず疎遠になってしまい
唯一、信頼していた男には浮気され…


もともと、人付き合いが得意ではなかったが
ここまでくると私に問題があるとしか思えない



「…凛子、ちゃん?」


後ろから掛けられた声に
身体がビクッとした
久しぶりに聞いた声だけど
出来れば会いたくなかった人だ


「凛子ちゃん、よね?」


その声と同時に近づいてくる足音
逃げ出そうと一歩足を前へ出そうにも
鉛のように重たく感じてしまう


逃げたいのに逃げられない相手
それは私がバイトをしていた
コンビニの副店長…あの店長の奥さんだ

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