私に触れて、そして殺して
ガシッと捕まれた両肩
私の目の前に現れたのは
私が毎日のように顔を合わせていた
元気で明るい奥さんの姿ではなく
疲れ切った顔をしていた
「凛子ちゃん、聞きたい事があるの」
奥さんの目が怖く
後ずさりをしてしまうが
奥さんは私を逃すまいと
肩に痛みが走るくらいのチカラで
私の肩を掴んでいる
「あなた、主人に何をしたの?」
何をした?
私がしたんじゃなく
私がされたのだ
「あなたが唆したんじゃないの?」
私はそんなことはしない
信用していた人に裏切られただけ
私は何も悪くない…
「あなたのせいで、私も主人もーー」
わたしの…せい?
奥さんの目は怒りに満ちていて
何を言っているのか耳に入ってこない