私に触れて、そして殺して


ガシッと捕まれた両肩
私の目の前に現れたのは
私が毎日のように顔を合わせていた
元気で明るい奥さんの姿ではなく
疲れ切った顔をしていた



「凛子ちゃん、聞きたい事があるの」


奥さんの目が怖く
後ずさりをしてしまうが
奥さんは私を逃すまいと
肩に痛みが走るくらいのチカラで
私の肩を掴んでいる



「あなた、主人に何をしたの?」



何をした?
私がしたんじゃなく
私がされたのだ


「あなたが唆したんじゃないの?」


私はそんなことはしない
信用していた人に裏切られただけ
私は何も悪くない…


「あなたのせいで、私も主人もーー」


わたしの…せい?
奥さんの目は怒りに満ちていて
何を言っているのか耳に入ってこない

< 206 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop