私に触れて、そして殺して


その時、気がついた
私が立っている場所
それは、閉店したコンビニの前だ

私を見かけた奥さんが
追いかけて来たのかもしれない


奥さんの鬼の形相みたいな顔で
私に何かを言っている
それを通行人が何人も振り向いている
掴まれた両肩は痛いを通り越し
感覚すらない



「返してよっ!店も主人も!あんたが唆さなかったら、こんなことにならなかったのよ!」



その言葉と同時に
頬に痛みが走った


「私の痛みは、こんなものじゃないのよっ!」


そう叫んだ奥さんは
もう一発と腕を振り上げた

また殴られる、と
目をぎゅっと瞑ったが
一向に殴られる気配がない
その代わりか、
私と奥さん以外の第三者が入る気配がし
瞑っていた目をゆっくり開けた

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