私に触れて、そして殺して



「座ったら」



懐かしい部屋は
殆ど変わってない
知ったキッチンにソファにテーブル


座ったら、という声に
少し遠慮がちに
ソファへと向かった


…っ、


その途中に視界に入ってしまった寝室
忘れもしない、あの記憶が
いやでも蘇ってしまう

その寝室から出てきたタツヤ…
私の視線に気がつき
今しがた消した寝室の照明をまたつけた

何かあるかのかと
遠慮がちに中を覗き込むと
そこは私が知った様子ではなくなっていた


セミダブルだったベッドは
シングルベッドに変わっていた
二人で寝るならシングルは狭すぎだと昔言っていたタツヤの顔を見てしまう

バツ悪そうな顔をしたタツヤは
寝室の照明を消しキッチンへと行ってしまった

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