私に触れて、そして殺して


タツヤは話題を変えるかのように
私の服装のことを聞いてきた


私の趣味ではないから
少し違和感があると笑っている
話すか話さないべきか
悩んでいると


「何かあったんだろ」


そう察してくれた
タツヤの目線は服装ではなく
裸足で歩いてきた
汚くなった足へと向けられていた

けど、それ以上は何も聞いてこない
そして何も言わずに
私の足を温かいタオルで
綺麗に拭いてくれた


それが嬉しくて
いや、タツヤに対してではなく
生きているという実感を
ようやく持てた気がした



「行くあてないなら、ここにいろ」


タツヤの言葉に
私は頷くことしか出来ない

自分から振ったくせに、と
自分を責めることもできるが
今はタツヤだけが頼りになっていた

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