私に触れて、そして殺して


もう、薬に頼るのも嫌なんだ



そう呟いた三吉さんは
私の方へと歩いてくる
私の目を見て、ゆっくりと


「凛子、あの言葉は…まだ有効?」



三吉さんが言う、あの言葉
どの言葉かと頭の中で思い出す

三吉さんと交わした言葉なんて
多すぎて、どれかなんてわからない
有効?と、聞いてくると言うことは
何かを約束したか、お願いされたか…


お願い?
過去の記憶を掘り起こす
その間にも、三吉さんとの距離は縮まる
何を?という気持ちが
大事な事を忘れている、という気持ちになる



『…あっ、…あの、言葉?』


ようやく思い出したが
それは三吉さんに言った言葉とか
約束やお願いをした言葉ではない

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