私に触れて、そして殺して
閉じた目を開け
差し出された手に自分の手を置いた
「あと少しで薬は切れるんだ、今ならまだ引き返せるよ」
念を押すように
三吉さんは私に確認をしてきた
でも、私の気持ちに迷いはない
『どう考えても、同じ答えしか出てこないの』
三吉さんの手を握りしめると
三吉さんはわかった、と手を握り返してくれた
初めて触れる三吉さんの手は温かく
二度と離したくない気持ちでいっぱいになる
行こうか、という言葉で歩き出した私たち
行き先は…ない
ただ、竹林の中を進むだけ
事件の事を調べていたら
こんな記事があった
あの事件後、竹林は自殺の名所となっている
これを阻止するために
市が全面的にサポート、と書かれていた
【完】