私に触れて、そして殺して


一度だけ、
俺はそれに遭遇したことがある
それが
病気を知るキッカケでもあった


「君島蓮斗くん、だね」


そう話しかけて来た客が…兄貴だった
何故俺の名前を?と思ったが
ネームプレートは付いているし
他の店員から「レン」と呼ばれているし
知ってる人はいるかもしれない



…待てよ、
蓮斗までは知らないだろう
ネームプレートは苗字だけ
店では「レン」だ



「なんすか?」



警戒心を持っていたら笑われた
その顔が妙に懐かしくて
親近感を覚えたのは記憶にある

それからだ
兄貴は俺の生い立ちを聞いてきて
それで、自分の過去も話してくれて
俺たちは欠けていた
一部のピースが合わさったんだ

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