私に触れて、そして殺して


だが、現実は違う
どんなに距離が縮まっても
三吉さんは私に触れようとしない
寝るときも相変わらず
私は寝室でベッド
三吉さんはリビングに布団を敷いて寝ている

何か話をしていたり
何かを見ていたりしても
一定の距離を保たれていて
くっついたりはしない



やはり、そういう事があった女は
対象外なんだろうかと思ってしまう

違うと、願いたい



「どうしたの?」


不思議そうに
私の顔を覗き込む三吉さん


『ううん。そろそろ仕事できるかな?て考えていたんです』


悟られてはダメだと
とっさに出た言葉
そういうと
仕事かぁ、と三吉さんは
スマホで何かを検索し始めた

少しは克服できているはずだが
正直、まだ怖い

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