私に触れて、そして殺して


電車を使って
駅から歩いて帰れる距離

そこで気がついた
三吉さんがスーツ姿ってこと


『もしかして、残業?』


「ううん。人と会ってたんだ」


人と?
珍しい、と思いながらも
誰だろうと思うが、それは聞かない
でも、顔に出ていたのか
三吉さんは部屋に着くと
私に話がある、と言ってきた


目の前に出された書類…、間取り図だ
その瞬間、心臓が止まりそうになる
いつもビクビクしていた
その時が来たのだ



「引っ越そうと思ってるんだ」


その言葉に、グッと唇を噛みしめる
三吉さんが引っ越しするということは
私も出て行かなくてはならない
引っ越し代も貯まってる
私がとやかく言えることではない

< 66 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop