私に触れて、そして殺して


外に出ると
私の気持ちを表したかのような土砂降り

最悪…


私が何をしたっていうの?
日頃の行い?
仕事を辞めたから?
親の反対を押し切って進学したから?


何もかも嫌になる
傘もない
タクシーを捕まえようにも
捕まえる前にずぶ濡れ

こんなずぶ濡れで
乗せてくれるタクシーなんていない
コンビニで傘を買おうにも
コンビニさえ入るのも嫌になる

トボトボと駅まで歩いていく
行き交う人は私に振り向く



「大丈夫ですか?」



誰かが声をかけてくれたが
そんな優しさ、私にはいらない
どうやって歩いたか、なんて覚えてない
気がついたら
部屋にいて、バスルームにいて
服のままシャワーに浴び泣いていた


この涙と一緒に
今日の事を忘れたい
あの忌まわしい声を頭から消したい

それから
どうやって着替えたのかも
覚えてなく、ただ無心になりたかった


目が覚めた時には
ベットの中で
キャミソールとショーツ姿で眠っていた

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